ツヴォイの駅西経営相談所④「自社の情報は出しちゃいけないの?」
実際にあったご質問とそれに対する私の答えを、架空の人物とラクガキでお伝えする「ツヴォイの駅西経営相談所」です。
今日のご質問はコチラです。
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Q・「ツヴォイさん、こんにちは。私は某小売チェーンでWEB責任者をしている西川大悟(34才)といいます。
同業の集まりなどでせて成功事例を共有する時があるのですが、ウチの社長は
『成功事例は、他社の情報は取ってきても、ウチの情報は出すな。具体的な商品情報や数字は出すな。』
と口うるさく言います。でもそんなことしてたら、良い情報も入ってこなくなると私は思うし、なんだかセコイような気がして集まりにも行き辛くなっています。
それで業績が上がっているならいいのでしょうが、業績は落ちて来ていることもあり、社長の言っていることはおかしいのではないかと思います。
ツヴォイさんはどう思いますか?どう対応したら良いと思いますか?」
A・良く似たご相談というか愚痴は良く聞きますし(笑)、私にもこれまでに似たような経験は多々あります。
いつもお話ししていることを、過去記事を引っ張り出してリライトしてみすね。
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2014-03-03
『「情報」は惜しげもなく出すべき』という私の解釈
私は、「情報」は惜しげもなく出すことだと思っています。
この感覚が分かっている人とそうでない人は埋まりようのない溝がある気がします。
何をもってして「ビジネスで有益な情報」とするか、というのは人によって様々ですね。
過去、色んな場面で、
「そんな大切な情報を教えてしまったら、すぐマネされるだろう!」
と言う人も何人もいました。
そういう人と話しているうちに分かってきたのは、そういう人達にとって
「今、売れている商品は何か?」とか、
「何をしたらすぐに儲かるか?」
というのが「大切な情報」の定義なんだろうなということでした。
私とは、日本語の定義があまりにも違っていることに気づきました(苦笑)。
社外の人から、「今、何が売れているんですか?」「どんな方法で売っているのですか?」
という質問をされたとして、
「あぁ、ウチは今これやってますよ。」
と素直に答えてあげたとします。
それに対して、
「なんで、そんなこと簡単に喋るんだ!」
と後で言ってくる身内の人ですね。
そういう人は、「売れている商品」とか「すぐ儲かる何か」の情報を、
今まで、誰か、もしくはどこかからとってきては、何らかの成果を上げている経験があったわけで、
よって、それが「大切な情報」と認識しているのでしょう。それはそれで一つの考え方とは思います。
まぁ、モノが売れていた時代に、たくさんモノを並べることで成果を出してきた経験をお持ちなのでしょう。
というか、そういう経験しかできていないのでしょうね。
今、自分の持っている情報の全ては、そもそも「自分以外の誰かが出した成果」の「情報」と言えるわけですね。
こういう人の傾向は、
「誰かから『情報』は欲しがるけど、自分の『情報』は出したくない。」
というパターンが多かったりします。
まぁ、こういう人が、どんな時代でもクリエイティブを感じるしなやかで強い経営をしているか?と言うと、私はクリエイティブを感じたことはありません。
商品や業態が流行っていて、扱っている人がまだ少ないうちは業績が良くて、それが終わったら、どんどん業績が悪くなる。
そうなるとまた次を探しに行って、また悪くなったら次を探しに行く・・・・、それを連続させていく人です。
それはそれで一つのビジネスの考え方なので、それでやっていけるなら、それでいいのかも知れませんね。
ただ、特に今の時代においては、そうそう簡単に「売れているモノ」や、「ちょっとマネすれば楽して儲かるモノ」があるか?と言われたら、私はそうそうあるものとは思えないんですね。
もしかしたら瞬間的にはあるかもしれませんが、誰もが「売れているもの」が欲しいので、その情報を知ったら、周りから「わっ」と寄ってたかってやってきて、またすぐに売れなくなってしまいます。
言わずもがな、ビジネスというのは「需要と供給」のバランスですから。
この「売れなくなるスピード」が恐ろしく速くなっているというのが今の時代であるとも言えます。
「あれが売れている。これが売れている。」という情報が入った時点で、自分に入ってくる程度の情報は、実は、もうそんなに「売れるモノ」ではなくなっている、
すなわち「大切な情報」でもなんでもない「情報」になっている前提は持っておいた方が良いと私は思っています。
1960年代からの、第一次産業・第二次産業・第三次産業、それぞれの仕事に従事する人の割合が、大きく変わってきているそうです。
第三次産業と言われる「小売・サービス業」は、1960年代には30%にも満たなかったのに対して、今は60~70%をも言われています。
それだけ、「モノ」そのものので消費成果を上げるという時代ではなく、「いかに伝えるか?」「誰から買うか?」という時代になってきていると思うのです。
「いかに伝えるか?」ということは、言い換えてみれば、
「あなたは、他人に、『お金を出してでもそこに行きたい』あるいは『欲しい』と言ってもらえるだけの動機を何で創れる人なのですか?」
ということです。
こういう考えを煎じ詰めていくと、「人としての魅力」とか「求心力」とか・・・・・、もっと下世話なコトバで言うと、「もてる奴」「人気者」とかになってくるのでしょうが、
そういう評価をもらっている人が、最も価値ある情報を持っている、というように私は考えています。
何も、見た目が「超カッコいい」とか「恐ろしく美人」とか、そういうことじゃなくて、「魅力的な人」ってことですよね。
この漠然とした「魅力的な人」、なんていう曖昧ではあるけれど、そうなれれば最強であるというのが、これからのビジネスの現場で、最も重要になってくるんじゃねーのか?
いや、そもそも人社会というのはそういうもんじゃなかったのか?という原点に戻っているとさえ思えてくるのです。
仮に、この考え方を前提とすると、「何を扱ったら売れるか」「楽して儲かるか」しか考えてこなかった人達は、相当苦しくなるんじゃないか?と思うのです。
だって、それ以外に考えたり行動したりする習慣がないわけですもんね(苦笑)。
創造力やクリエイティブが必要な時代だと言われていますが、創造だのクリエイティブだのとその言葉を知っただけで、創造やクリエイティブの思考にはなれません。
「よぉしっ、今日からクリエイティブになるぞぉ!」
と思ったところでなれないでしょ(苦笑)。
脳が習慣化されていないことは、できないのでから、要するに、現代ビジネスができないということになります。
わざわざ「情報」を取りに行きたい相手というのは、どういう人かと言えば、
順序で言えば、最初は、
①「実績・成果を上げている人」
なわけで、これは、前提と言えるし、一つのきっかけと言えるでしょう。
では、次に、どの「情報」を取るべきか?と言われれば、私の場合は
②「なぜ、それができたのか?」
です。
②にはさらに二つがあります。
(1)「何を、どうやったから」
(2)「なぜ、それをやったのか」
です。
(1)は、言ってみれば、現象面であったり、表層の情報です。
方法論やノウハウがこれにあたります。マネしようと思えば、すぐマネできるでしょう。
(2)は、言ってみれば、その人の考え方や人生です。
「生き方」とか「生き様」「人生観」「仕事観」という言葉になると思います。
私が、スゴイと思ったり、目標にしている経営者・ビジネスリーダーを振り返ってみると、必ず、この②の中の(1)と(2)の部分のバランスが素晴らしい方ばかりでした。
ちなみに、私が、最も欲しい「情報」というのは、②-(2)です。
ただ、②ー(2)の部分「なぜそれをしているのか?」については、どんなにマネしようと思っても、ストレートにマネなんて絶対にできないですよね。
だって、{一人生=一人}なんですから。
マネではないことが分かっているから、スゴイ人と言うのは、②ー(1)と(2)も、惜しげもなく教えてくれるのだと思うのです。
教えてくれるから、だから、聴いた側は「やっぱりこの人スゴイ」となって、「また会いたい」という連鎖になって、人が自然と集まって来るんだと思うんですね。
「人の人生から、自分に置き換える。」
私はこれが最も尊い「情報」なんじゃないかと思っているのです。
例えば、
「この人は自分の強みを自分で理解していて、そこだけ徹底的に磨きまくっている。」
と気づいたとします。
気づいたところでしかたないので(笑)、じゃあ、自分に何ができるのか?と言ったら、
「自分の強みは何なのか?それをどう磨けばいいのか?」
となって、自分で自分のことを考えるしかない(苦笑)。
要は、「自分の人生」とか「思考法」になってくるわけです。
仮に、成功している人の、扱っている商品・サービスが、
「『人生』が表層化されたモノ」
と仮定すると、「自分の軸」と「ビジネスとして成り立つ商品・サービス」の両輪があり、かつ組み合わさっていないないと成功しないということになります。
よって、表層だけマネしても継続していかない、ということになりますね。
取りに行くキッカケとなる情報は「表層・現象」かもしれませんが、
実際に取って帰ってくる情報は「本質・根幹」だとするとですよ・・・・・・・、
ここを理解している人は、
・伝える時には、惜しげもなく「情報」をどんどん出してくれるし、
・聴く時は、相手の「現象」と「本質」の両側面から「情報」を取っている。
となります。
ここを根本的に理解している人は、「情報」を惜しげもなくどんどん出している人です。
『「情報」を出す人には、「情報」は集まる』
と言うことを、経験上で理解している人です。
ブログにしても、SNSにしても、リアル店舗にしても、自分にとって有益・メリットのある情報のあるとこにしか行かないでしょ?
少なくとも私はそうです。
「情報」は人が持ってくるのだから、人が集まるところに「情報」が集まるのは当然です。
「情報」を出す人には、人が集まって、また新たな「情報」が入ってくるサイクルが出来上がっています。
このサイクルを普通に自然に創り上げていく人と、
大して「価値のない情報」なのに、自分では価値があると信じ込んで出さない人とでは、
今の時代に必要とされている情報の質の差がドンドンついていってしまうでしょうね。
意図もせずに、知らぬ間に、いつの間にか圧倒差がついていってしまっていく。
そもそも、自分は少しでも取ろうとするのに、相手には何も差し出さないような人に、人は集まるでしょうか?
誰も寄りつかないですよ、そんな人には(笑)。
「何が売れている。」とか「何をやったから上手く行った。」とか、そんな程度喋りまくればいい。
言えばいいんです、言えば。
今売れている商品や、すぐに儲かるノウハウなんて、果たして10年後も価値があるんでしょうかね?
私から言わせれば、すぐマネされて成果を出せる情報なんて、大したことはない情報です。ちょっとやそっと聞いたぐらいで、簡単にマネして成果を出せる情報なんて、そもそも大した情報じゃありませんから。
自分に入ってくる情報なんて、実はもう誰も彼も知ってますから、そんなもん。
表層や現象しか見えていなくて、「あれやったら儲かるんだ。」と発見したような気になってそれだけやっていて自滅していくケースは、自ら経験してきたし(苦笑)、実際にそういう人はたくさん見てきました(苦笑)。
そんなのよりも、根掘り葉掘りどんなに聞いたとこで、とてもマネできない「その人の人生」から学んだり、自らに置き代えることの方が、貴重で大切で尊い「情報」だと思うのです。
時々、このブログを読んでいる方から言われることがあります。
「坪井さん、タダでブログでそんなことまで書いちゃっていいんですか?こっちはありがたいんですけど・・・。」
ホントに時々ですけどね(苦笑)。
でも、私にとっては、大変光栄な言葉なんですね。
「情報」を惜しげもなく出している側ってことですから(笑)。
かく言う私も、スゴイと思える人の表層のマネをしていることはたくさんあります。
たくさんあるウチの最も影響を受けて、ストレートにマネしているのは、
「惜しげもなく情報を出している。」
と言うことです(笑)。
成果を出している人、純粋にカッコいい、なんて魅力的なんだ、素敵なんだ、と素直にそう思える人は、皆、「情報」を惜しげもなく出しまくっている人です。
そして、そういう人は、やっぱりファンが多くて、ビジネスもうまく行っている人です。
私は、まだ自分ができているとは、とても思っていませんが、でも、そういう人になりたいという願望と目標だけは持っています。
「価値観の多様化」と言われている現代は、「大切な情報」の定義も、人それぞれなのでしょう。
情報の定義していると私は圧倒的に面白い時代だと思うし、チャンスの時代と思えて仕方ありません。
それでも、まだ「そんな情報出したら、すぐマネされて売れなくなるだろう!」と言う人は、それはそれで一つの生き方ですから、そう生きて行けば良いのだと思います。
それは自由です(苦笑)。
こうなると、それこそ生き方の問題になってきますね。
ということです。
2014年に書いた記事ですが、今でも基本思考は変わりません。
私の直感ですが、西川さんと社長さんとは恐らく相容れることはできないかと思います(苦笑)。
社長さんは社長さんでそれが正しいと信じているわけで、今もまだそれを口に出して言うということは、西川さんの違和感は分からないのでしょう。
分からない人に言葉で言っても、分からないのだから仕方ありません。
良い悪いではなく、違うものは違うと割り切りましょう。
ですから、選択肢としては、
① 今までのように「はぁ、気をつけます・・・。」と生返事をして社長の顔は立ててあげて(笑)、あなたは必要とされる場では情報を出し(笑)、業績アップへ繋げて実績で証明して進む。
② どの道、終わるだろうから、その会社は諦めて、転職か独立を視野に入れて進む。
の二択でしょう。
私個人としては、どの道どうせ、どの道、終わるなら、社長が何を言っても自分のやりたいように実験させてもらって、自分の市場価値を高めることに注力することですね。
情報は、出した価値の分しか入ってきません。
ここでも、「全てのビジネスは価値と価値の交換」という定義は当てはまるものだと思っています。
ご参考頂ければ嬉しいです。
応援しています。