鮮明に甦る記憶に幸せを願っています
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リニア開発計画に基づいてなのか、事務所の周りがどんどんと変わっていっています。
ご近所のあちこちが、みるみる解体されていっては、新しい駐車場や建物に変わっていっています。
この辺りは商店街で、駅西銀座商店街の道路側はお店が立ち並んでいて、
その裏側にお住まいがある建物が多く、かくいう私の実家でもあるこの事務所も、そういう長屋の一軒です。
当時からずっと残る、築60年とか70年とかの民家も珍しくなく、
一部が解体されて、その跡が剥き出しになったままの建物が稀に出てきたりします。
写真の建物は、私がまだ幼稚園の頃に、仲良しだった「あけみ」ちゃんという女の子が住んでいて、
よくこのお家の中でも遊んだりしました。
表のお店(何屋さんだったのか覚えていない)を通り過ぎて、
この建物の2階にあがって、あけみちゃんの生まれたばかりの弟が寝ている姿を一緒に見ながら、
「赤ちゃんはまだ目が見えないんだよ。」
「赤ちゃんのうちはまだ息ができないから頭で息を吸ってるから頭を触っちゃダメなんだよ。」
と、ホントかウソかよく分からないことを教えてもらいながら、一緒に赤ちゃんを大切そうに見ていた場面が、何故か鮮明に記憶に残っていて、
前を歩く度に、いつも思い出したりします。
顔のまん丸い、よく笑う、元気でハツラツとした女の子で、
一緒駄菓子屋さんに行った時に、カチューシャのオモチャを買って、頭につけていたのを見て、
自分とは全く違う、女の子らしいオモチャを喜ぶ彼女に、その時、おそらく初めて異性であることを実感して、とても可愛く思えました。
少し照れて走る出す私を、声を出して笑いながら走って着いてくる姿が忘れられません。
その時の記憶を最後に、その後、あけみちゃんのことは全く分かりません。
今も元気でいてくれたらいいな、と一人で時に願っています。
スピードが速くなったり、新しくなったり、住みやすくなったり、豊かになったり、便利になったり、
それはとっても素晴らしいことで、喜ばしいことなんだけど、
時に、自身が形成された出来事や、切ない思い出に馳せることで、何か大切なことを思い出せたり、
そういう機会はあったらいいな、と一人思ったりします。
子供の頃の周りにいたお友達は、今考えれば、色んな子達がいて、
わざわざ、もう一度会ってまで会いたいと思うことはないけれど、
皆、それぞれ、元気で幸せでいてくれたらいいな、と思っています。