「数値実績」は何の為にあるのか?

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現状の数値実績が知りたくて、例えば部下に「今月の得意先別・商品別・担当者別の売上状況の資料を出しといて。」と指示を出したとして、その時、部下に「その目的は何ですか?」聞かれて、即座に答えられないようなら、実はその資料は意味がないと自覚した方がいいですね。

年上や上司は、年下や部下の論理があっていればあっているほど感情が許さないという傾向があります。

それをお互いに感覚的に知っているので、上司が部下に新たな資料作りを指示した時は、その意味など考えずに資料を作って、提出することそのものが目的になります。

提出された上司は、ほとんどの場合、「思っていたよりも良かった・悪かった」程度の認識をして、せいぜい「お、いいじゃないか。」とか「なんだ!この状況は!」といった、いわゆる感想を述べて、その資料はそれで終わったりします(苦笑)。

あげく最悪なのは、「お前はこの状況を把握してなかったのか!数値くらい見ておかないでどうするんだ!経営は数値だ!」と説教とも言えない説教みたいな時間となって、部下は毎月・毎回、資料の山となる。

使わない資料の山が増えまくって、資料を作ることが仕事になる時間が増えて、生産性はドンドン下がって、下がった資料をこしらえて、「お前ら一体何やってんだ!」となる(笑)。

 

トップ・リーダーの瞬間の安心や心配といった感情の為に、どれだけの無駄なコストを使っているのかは一度考えてみた方がいい、というか、相当大きいと認識しておいた方がいいでしょうね。

特に、サービス業や店舗ビジネスで各リーダーにこれやらせると、本来、顧客接点を増やさねばならない時間を使って、パソコンの前に座り続ける人数が増えまくって生産性は一気に落ちます。

数値が違っていると叱られるので、資料の作り方を聞きあったり、どこに数値を入力すればいいのか教えてもらったり、そういう時間の比率が高くなっていくのは相当危険です。

トップ・リーダーの「単に知りたいだけ」という欲求は、往々にして周りのコストの無駄使いを誘発していて、これが結構予想以上に業績を圧迫しています。

経営は数字を見ておくことは確かに大事ではありますが、数字を見ることそのものが目的ではなく、数字結果を見た上で、次にどんな行動を起こすかの意思決定をするのが本来です。

すなわち、「次の行動の一手」を意思決定をする為のツールとして数値実績はあると一旦割り切ってみましょう。

そうすると、例えば、どの数値がAだったらこの手を打ち、Bだったらこの手を打つ、といったように、出た結果に対する意思決定を先に決めておかねばならないことになります。

こう割り切ってみると、毎月、どれくらいの資料が本当に必要で、会議に何の課題を費やすべきでしょうか?となります。

こう定義しておかないと、資料をしっかり作ってこなかったことや、数値が間違っていたことを問題にしたり、そういう時間が会議の中心になりまくって、会議の生産性もあったもんじゃなくなります(苦笑)。

そう考えると、数値実績を出す目的というのは、数値実績が出てからではなくて、数値実績が出る前から決まっている、ということになりますから、トップ・リーダーのそもそもの仕事は何なのか?ということにも繋がっていきます。

こう割り切っても、これがなかなか思うようにできません(苦笑)。

なので、慣れるまでは、何かの資料が見たくなったら、出す前に先に「その資料を見る目的は何か?」と自問するか、部下に指示を出す場合に、「俺がもし目的を言わなかったら、『その目的は何ですか?』と聞いてくれ。絶対に怒らないことだけは約束するから。」と頼んでおくか、でしょうね。

これ、相当気付かされて、私は鍛えられました(苦笑)。どれほど無意識のうちに、単なる知りたいだけの欲求で、たった一言の「やっといて。」で、会社全体の多大なコストを貪りまくっていたことか(苦笑)。

 

 

そう言えば・・・、

余談ですが、以前のお仕事で、契約して間もないコンサルタントに「この店って、月にどれくらい売るんですか?」と質問されたことがあります。

知り合って間もない頃で、どこまで情報を出していい人か分からなかったので「さぁ、いくらくらいだっけなぁ?店舗が増えてきたんで、この店だけって聞かれても・・・。」と、実は数字は把握してはいましたが、敢えて、アホ面こいて、すっとぼけてみたんですね(笑)。

まぁ、こちらの本音としては「それ聞いて、あんた、どうすんの?何してくれるの?」だったんですけど(苦笑)。要はまだ信頼していないし、私もまだ青くて誰にどの情報をどこまで出していいのか分からなかった時です。

その時は、そのコンサルタントさんも「あぁ、そうですか・・・。」程度で終わって、私も(なんじゃ、そりゃ。何故聞いたのかくらい教えろよ。)程度で、それ以上はありませんでした。

後日、そのコンサルタントさんは、ブログかメルマガか何かで、「会社の業績を聞いてもすぐに答えられない経営者がいて、とても残念だ。業績の上がっている会社の経営者は皆、自社の数字を把握しているものだ。」と叩いてくれてました(苦笑)。

それが私のことかどうかは別として、私は、やっぱりこの人には教えなくて良かったと思いました。

だって、その人が嬉しいとか残念とか、経営者の評価とか評論とか、そんなもんのために、お願いしてお金払おうとしてませんでしたから(苦笑)。

 

月日が経って、私の今のお仕事では、色んな業種業態の方から業績アップのご相談はあって、かくいう私も、必ず任意の数値実績というのは確認させて頂きます。

確認させて頂く以上、どういう結果だったら、どの手を打つという案を事前に、できれば3案くらいは考えておきたいと思ってはいますが、それは口で言うほど簡単じゃなくて、よって鍛えて頂いてるんですね(苦笑)。

その時間が一番キツく、そして、その構想や企画は、まぁ楽しい時間でもあって向いていると言えば向いているのでしょう。

きっと、そういう経験や、経験からくる仮説を繰り返してきたからなんでしょうね(笑)。

 

私は、数値実績は検証の為、検証の前提は仮説ありき、すなわち、「未来の構想やシナリオ、企画の為に数値実績はある」と割り切っていますから、未来構想を目的とした会議やミーティングに絞られる場合、数値実績は一切使いません。

数値実績とはそうやってお付き合いしていくものと考えています。

数値実績は大事ながら、数値実績だけ永遠に見続けたとしても業績は一向に上がりませんからね(苦笑)。

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