自社の「事業」の要素は明確か?
先日、複数の業種を扱っている経営者の方と話をしながら、
「事業」というものは何か?ということをキチンと定義しておいた方がいいのだろうな、と思いました。
それぞれの事業で磨くべきスキルやノウハウが違っていて当然なことくらいは分かっているのですが、
分かってはいても、何をどう明確にしたらいいのか、明確でない場合があります。
自社の売っている商品・サービスとは何か?を見直してみる時には、
① 何を「原材料」として仕入れて
② どんな「道具」を使って
③ どんな「加工・組み合わせ」をして、
④ 誰に売ろうとしているのか?
⑤ その為の資本はどこから集めるのか?
に分けて、一つ一つ明確にして、行動していくことです。
例えば、同じアパレルという業種でも、メーカーと小売では、まるで違ってきます。
例えば、
① の原材料は、
メーカーなら、「素材」になりますが、
小売になると、「洋服になった製品」になります。
② の道具は、
メーカーなら、「ミシン」等になりますが、
小売店舗なら、「店舗」や「什器」になります。
③ の加工や組み合わせなら、
メーカーなら、「デザイン創造」や「着心地の良いパターン」になるのでしょうし、
小売なら、「TPO毎の着こなしアドバイス」だったり、「服のある楽しい日常の提案」だったり、「組み合わせの紹介」「楽しい時間の共有」だったりするのでしょう。
同じアパレル業でも、立ち位置によって、専門性と磨くスキルは全く違ってきます。
今の時代に、最も重要なのは、③ の加工や組み合わせです。
それが、自社の規定する「労働」そのものだからです。
私が、なぜ、そう仮定しているか?は以下の考え方に基づいています。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
一つの商品の構成要素は、
A・原材料
B・道具
C・労働力
の3つです。
実は、AとBは、想定した以上の価値は生みません。
10着分の素材からは、11着以上は作れません。
1時間あたりに10着縫えるミシンは、11着以上縫う生産性はありません。
(想定以下の生産性なら別で考える必要がありますが、ここでは省きます。)
粗利額が生まれるのは、③の労働力=労働時間であり、時間当たりにどれだけの価値があるかどうかだけです。
(ビジネスにおける単価の価値は、需要と供給のバランスで決まりますから、
それは、この後の問題として捉えます。)
ちなみに、ここ最近、言われている「楽しい」というキーワードも③に入るでしょう。
社長や従業員が、自社のお客様の「楽しさ」を定義し、「楽しさ」を有形無形の情報で伝えられるかどうかこそが「労働」のキモといえます。
経営学や経済学というのは、完璧な正解というものはないとされていて、私もそう思うのですが、
だからこそ、一旦、一つの型に落とし込んで、一つの型として理解しておく必要があります。
これがないと、いい時は良くて、悪い時は何をしていいか分からない、となります。
最悪なのは、いい時を自分の力と過信して、悪くなりかけてから、そのままで走ってしまって取り返しがつかない状態まで行ってしまうことです。
いつも立ち戻れる原型や方程式があるかないかは、スピードがはやく、激変の時代とされる昨今では特に大事だと言えるでしょう。
私が、家業の衰退業態である傘屋から、リサイクルショップへ変わったのは、実はこれをヒントに模索したとも言えます。
周りには、まるで、全く違った業界へ好き放題で転身したように見えたかも知れませんが、一応、原理原則の型にはめて考えたことでもあります。
ここ数年、私は、様々な業種業態の方々から、業績アップのご相談やご依頼を頂いているので、
双方で、「自社の事業の元素」とはそもそも何か?を理解しておく必要があって、
私は、これに当てはめていったりします。
繰り返しますが、経営学や経済学には完璧な正確がないので、この思考法が正解とは限りませんし、ここに答えがあるとは限りませんが、
次の事業や、本来磨くべく自社の力、業績アップなどのヒントになることは十分可能性があります。
もし、見直したいなら、一度、それぞれを書き出してみるといいかも知れません。
思わぬ、自社の価値や、自分の得意分野が見つかるかも知れません。
余談ですが、あまりに基本原型に基づかずに経営している人が多いことにも驚いていたりもしていて(苦笑)、
と言うことは、そういう場も必要とされるかもしれないな、と思ったりもしています(笑)。
私の次の事業構想にも役立っていると言えますね(笑)。