どうなることが「成長」か?「変化」か?「進化」か?

会社組織において人を評価する会話をする時に、

「成長」とか「変化」とか「進化」のキーワードはよく使われます。

 

「あいつは、成長した。」「していない。」

「あいつは、すごく変わった。」「全然変わらない。」

「あいつは、進化をとげた。」「鈍化している。」

私はそれはの言葉を聞くたびに、何のことを言っているのか、よく分からなかったりします。

だから、都度確認したくなったり、実際に確認をしたりします。

 

① 目標に対する成果が出たことを言っているのか、

(例えば、営業担当が売上目標達成率が上昇したとか、生産担当者の時間当たりの生産性が増したとか。)

② 言うことが変わったことを言っているのか、

(例えば、研修後に急に前向き発言を言うようになったとか。)

③ 見た目の行動や所作が変わったことを言っているのか、

(例えば、仏頂面の人が笑顔になったとか、朝の挨拶を元気にしてくるようになったとか、髪型やファッションが誰が見ても変わったと気づくとか。)

 

人を評価している側の人が、何をもってして「成長」「変化」「進化」という単語を出しているのか、

それが社内や組織内で一致していることは、私の経験上では、ほとんどないんですね。

多くの人は、主観で好きなことを好きな時に好きなように、ただ言っているだけだったりします。

 

実は、①の客観情報があるもの以外は、

相手が、自分の気にいる言葉を言ったとか、

相手が自分がいつも使っているのと同じ単語を使ったとか、

相手が自分の気にいる行動をしたとか、自分の指示通りに動いたとか、

自分と同じ価値観を相手が受け入れて、相手が自分の思い通りになったことが嬉しいと感じているということが往々にしてあります。

 

あるいは、

「自分が部下に関わると、部下はこんなに成長するんですよ。私は人材育成に大きく貢献しているのですよ。」

ということを、誰もが言ってくれないから、自分で訴えたりしています。

 

でも、それを自覚するのは、あまりに虚しくて切ないから(苦笑)、

「いや〜、あいつは成長したよなぁ。」

「あいつはホントに優秀ですよ。」

と言ったりします(笑)。

「いや〜、あいつは俺のことを認めてくれて、好いてくれてるのだから、とっても嬉しいんですよ。世の中の誰も私のことなんて見てもくれないし、認めてもくれないもんだから、私は他人からの承認欲求に飢えてる、寂しい奴なもんですからね。」

とは口が裂けても言わないのです(笑)。

 

だから、まぁ、②とか③について、言いたがる人に対しては、

「あぁ、そうでしたか、それは良かったですね。」

「あぁ、そうですか、それは大変ですねぇ。」

と承認してあげるのがいいのだろうと思いはします。

 

ただ、口で言っているだけならいいのですが、その延長線上に、給与や昇進等の具体的な条件面のアップを暗に要求してくる場合もあって、それが面倒です。

実績は上がりもしないのに、

「言うことが変わったから成長した。」

「自分が可愛がっている部下だから成長した。」

だから、条件を上げてやって欲しいという感情はかなり面倒です。

そんなこと言い出したら、

「あんた、全員の業績や生産性が落ちているのに、全員の言うことが変わったから給料上がるんかい?」

ということになります。

 

果たして、組織における評価基準とは何か?という問題になってきます。

 

イモムシは葉っぱをたくさん食べて大きくなって、サナギになって、蝶になります。

「イモムシが葉っぱを食べて大きくなる」のは、

成長でしょうか?変化でしょうか?進化でしょうか?単に太っただけでしょうか?

「イモムシがサナギになって蝶になる」のは、

成長でしょうか?変化でしょうか?進化でしょうか?

 

それは、社内のみで通用する基準でしょうか?社会の市場価値が上がっていると認識できることでしょうか?

 

どれが正しいかどうかは別として、社内や組織内では、それぞれの定義を共有しておく必要はあると思っています。

 

でないと、人数が多くなればなるほど様々な障害が出てきます。

現実は、上司の好き・嫌いや価値観、関係性で評価は決まってしまう側面があって、それは人間の集まりである以上どうしようもないのかもしれません。

故に、一人では見きれなくなった人数になった時に、共有できる基準は必要なのだと思います。

 

人数が少ない時から多くなっていく過程において、この辺りの面倒臭さを、私は痛感した経験があって、

後になってからは、結局は解決には至りませんでした。

そういう意味では、想定する事業規模によって、人事戦略も考えておいた方がいいのでしょうね。

 

 

ちなみに、私自身は、自分ではイモムシが蝶になって進化したつもりでいても、

現実には、太ったとか痩せたとか、その程度のことだったりします(苦笑)。

 

ただ太っただけ(苦笑)。
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