上っ面の人生にならない為に

2013年10月3日に書いていたブログのリライトです。

過去ブログで自分が書いたことなど、書いた瞬間から忘れていますが(苦笑)、

書いている時だけはそれなりに本当に思っていることを書いているわけで(笑)、

当時の自分の考えと、今の自分の考えを比較して、基本軸が同じなのか、変わったのか、ブレていないのか、

そういうチェックはできたりしますね。

「自分にとってのみ」ということになるのでしょうが(笑)、そこそこ大事なことを書いていると思います(笑)。

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「上っ面の人生にならない為に」

子供の頃、小学校1~2年生くらいの頃でしたでしょうか・・・・・・・・、

ウルトラマンの絵が上手くなりたくて、本に描いてあるイラストを一所懸命に模写しては、子供ながらに絵を描く研究(笑)をしていました。

私の住んでいた家(今のTOSBOI STUDIO)は、表側が傘屋さんの店舗になっていて、

当時は、住み込みで働いていたスタッフのお姉さん数人と一緒に暮らしていました。

中でも一番可愛がってくれていたお姉さん(正子ちゃんと呼んでいた)がいたのですが、

そのお姉さんに、頑張って描いたウルトラマンや怪獣を見せては、寸評をもらっていました。

「今度のは上手く描けたね。」とか「ここんとこがちょっと違うんじゃない?」「私は、この絵が一番好きだな。」

という感じだったと思いますが、まぁ、お付き合いと言うか、遊んでもらっていたのですね。

でも自分の頑張って描いた絵を見てもらって、それに反応してくれる人がいてくれて、

とても嬉しかったし、絵を描くモチベーションは日々上がっていきました。

 

ある日、いつものようにウルトラマンを描きながら、上手に描くある秘策を思いつきました。

「そうか、模写(子供の頃はそんな言葉しらないですが(笑))するんじゃなくて、

本のイラストの上に紙を置いて、そのまま線をなぞって写せば(トレース)上手く描けるんじゃないか。そうだ、それが一番うまく描けるぞ。」

幼心に素晴らしい発見(笑)をした小さな坪井秀樹君は、ピックアップしたウルトラマンの絵を頑張ってトレースし、

文字やなんかで切れている箇所をうまく繋げて、描き上げます。

 

得意満面で、お姉さんに見せに行ったとき、お姉さんが絵を見た途端言った言葉は、

「これ、ひで君の絵じゃないじゃない。うつしただけ。」

瞬時にトレースがバレた、この瞬間の映像が今でもハッキリと残っています(笑)。

店のレジの置いてある棚の裏側の会話でした。

 

今までで一番上手く描けた絵は、すぐに見抜かれて、自分のモノではない・・・・・。

じゃあ、自分の絵って何なのだろう??

どうしたら、「上手くて」、ひで君らしさが「伝わる」自分の絵が描けるんだろう・・・・・・・・。

 

子供心に漠然と思うこのこの気持ちは、その後の私の人生観に大きく影響しているようで、

ビジネスの現場においても、時々、この時の事を思い出します。

利益が出て儲かる時流のビジネスモデル、業種業態・商品・サービスは何なのか?を探究する側面と、

本来、自分はビジネスを通して、何を伝えていきたいのか?という側面と、

この二つの接点をいかに見つけて、実践していけるのかが、現代ビジネスの要だと、私は思っています。

儲かっている商品や、流行りの商品を見つけて、資本を投入して、資本を増やし続けようとするのは、ビジネスである以上、前提と言えます。

しかし、資本を増やすことにしか興味を持たなかったり、それだけをやり続けていく人生が、楽しくて面白いか?と言うと、私は疑問です。

 

ほとんどの人は、社会に出てから、人生のほとんどを仕事に費やすわけですから、

仕事そのものや、関わっている一つの一つの商品や事業に、愛着が持てなくなったり、人生を見出せなくなったら、

まるで、トレースしただけのイラストのように、上っ面だけ舐めて、自分の存在が希薄になっていく感覚があって、

私は、何とも味気なく、空しい感覚になったりします。

ただ資本を増やす為だけにこなしていく仕事の連続のというのは、

「俺の人生って何なんだろう・・・・・」と感じている人は、ここに陥っているような気がします。

 

一度社会に出てしまったら、人生のほとんどは仕事になるのが普通。

「仕事=人生」というのは、好む好まざるに関わらず、いたって普通なのだと私は思うのです。

 

そもそも、すぐにトレースできたり、すぐに投入できる流行モノは、誰でもすぐできる訳ですから、

飽和状態になるのも速く、そうなった時に顧客側が何を見るかと言えば、

本来その会社が何を根幹にしているか?何故その仕事をしているのか?その仕事をしている人が何者なのか?といったことではないかと思うのです。

私はそれを「独自性」と呼んでいます。

 

同じような会社・店舗・商品になった時に、顧客から聞こえてくるのは、

「それって、ちゃんと君が描いた絵なの・・・・?。」

お客さんというのは、論理ではなく、感覚的に、そういうことを察知したり認識したりする天才なんじゃないかと思います。

 

技術は、先行している誰かに教えてもらいながら長い時間をかけて磨いてこそ上手くなっていくものだし、

また、その技術は、本来自分が何をしたいのか?によってのみ、本物となってオリジナルとして世に出ていくのだと思います。

「上手い」ことと「伝わること」。

「儲かるモデル」ことと「独自の価値」。

どちらも要求される時代なのだと思うし、自分のビジネスの本質や根幹がどうありたいのか?が問われているのだと思います。

 

黙っていても儲かるようなビジネスモデルはなかなかない昨今において、

すぐマネできる目に見えるモノより、なかなか目に見えない大切なことを見つけることの方が難しく、また重要であると思うのは、

私のそうした幼少の頃の記憶と、現代ビジネスの問題と、双方に共通する本質は同じであるという考えがあるからかも知れません。

 

選ばれる側と、選ばない側がますます明確になる、極めて正しいと思えるビジネス環境で、自らを試していこうと思っています。

もう亡くなった正子お姉さんに、自分でちゃんと描けたウルトラマンを、いつか見せに行って、「これは、ちゃんと自分で描いたんだぞ。」と言って、見てもらいたいなぁ、と時々当時の映像を思い出すのです。

 

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