ツヴォイ式お絵描き030「ジェームス・ディーン 」02
映画スターの着るレザージャケットの姿が、スゲェカッコ良くて、どこに行ったらあんなのがあるんだろう?と、
若い頃、渋谷・原宿・上野の古着屋さんを血眼で徘徊していました。
似たタイプを見つけては着用してみるものの、私が着ると、どうしてこんなにもチンチクリンで似合わないのだろう?と思いながら、
ちゃんとしたカッコいいレザージャケットはないものか?と探し回りました。
特に、このジェームス・ディーンが着ている通称ポリスマンタイプと呼ばれるレザージャケットは、ガチのバイク用で着丈が異様に短いのと、
本格的な当時の古着は、50~60年代のその職業についていた人用のオーダーメイドが多く、
出玉が少ない上に、見つけてもサイズが合うかどうか、価格まで考えると、
今とは違い、まるで情報が少ない時代だっただけに、実際に店舗に行くしか情報がとれなかった当時は、
状態もサイズも価格も、完璧なモノを見つけるのは奇跡にも思えました。
ある日、価格以外は完璧と思えるレザージャケットに出会えたことがあって、店員さんに頼んで試着させてもらいました。
その時、やっと気づきました。
最高のレザージャケットが見つからなかったのではなくて、そもそも、ジェームス・ディーンと私の、素体と中身の違いの問題だったのだと(笑)。
レザージャケットを着るとカッコよくなるのではなくて、そもそもカッコ良い奴が着るレザージャケットがカッコいいのだと(苦笑)。
残酷で元も子もない現実を目の当たりにしながら、そうやって私は大人になっていきます(笑)。
そして、それ以来、今もなお、最高のレザージャケットさえ着さえすれば、何とかカッコいい男に見えるのではないか?という、
姑息な幻想やファンタジーに可能性を見出して、素体を鍛えるでもなく、中身を磨くでもなく、
あの時と変わらないまま、57歳になった今も、気か付けば時に徘徊しているのです(苦笑)。