言葉は受け手によって虹のように意味が変わるからね
「ツヴォイ、お前のやってることは毎年毎年、一年かけて2000万円を、バァっと撒き散らして、捨ててるようなもんだよ。
俺から言わせたら、お前なんて、親の資産の上で遊んでるのと同じだよ。」
25年前に、家業の傘メーカーを継ぐべく帰って、慢性的な赤字経営を何とかしようともがくも、何ともならない幾多の状況を、
説明とも言い訳とも愚痴とも分からぬような話で、私がまくし立てた後に、言われた言葉です。
当時、直接、経営相談やご指導頂いていた勉強会の先輩が、今から20数年前に、目の前でおっしゃいました。
私にとっては、実績が伴わない者の客観視を、目の前でズバリ言われたようで、とても印象的な言葉として、今も鮮明に覚えています。
その印象的な言葉は、良くも取れるし悪くも取れます。
言われた瞬間は、虚しさや、分かってもらえない悲しさを憶え、
後には、こうして思い出しては、感謝となったり、激励や愛情だと思えたりもしました。
言葉というのは、言っている本人がどういう意図なのかは、どこまでいっても分かりません。
同じ言葉でも、
敢えて厳しい言葉をかけて相手の奮起を促そうとしているのかもしれないし、
悪意を持ってズタズタにしてやろうと思っているのかもしれないし、
心理的にコントロールしようと意図しているかも知れません。
あるいは、全部の言葉を「お前のことを考えて言っている」という前提で丸めて、正当化しようとする人もいるだろうし、
優しい耳障りのいい言葉で骨抜きにしようと企んでる人もいるかも知れません。
そんなことは、深層心理の領域までいくと、どこまで行っても本当のところは、分からないわけです。
実際に、言われた瞬間はとてもショックで、見捨てられたような悲しい気持ちで一杯だったし、
でも、今は、会社経営においてとても重要で現実的・客観的判断の言葉であると思えます。
言葉というのは、時間や経験の経緯と共に、受け手側によって意味合いや認識は変わっていくわけで、
言葉というのは、まるで虹のように色が変わっていくものなのだと思うのです。
自分が情報発信する時には、どんなに相手のことを考えていようと、愛情前提だと思っていても、
受信した側が、傷ついたり、ズタボロになったりして、
自分が意図したこととは裏腹に、酷い奴になって、最悪恨まれることになることもあったりして、
それは発信側にとっては最も強烈なストレスとなります。
私はそういう自分であると自覚はしているので、
ということは、受け手の時は、自分の基準で、ありがたいとか、酷いとか、勝手に受け取っておいて、
発信手の時は、感謝されたり、ありがたいと理解して欲しいという、
そういうワガママ極まりない立ち位置で生きてきていると言えます。
まぁ、多くの人は、そういうもんだとも思っていますけど。
ということは、相手が発信した言葉の本当の意図などは分からないということが前提になるとも言えます。
どうせ分からないのであれば、相手がどんな意図でその言葉を言ったとしても、
全部、自分に都合よく捉えてしまうというのが、いちいち考えなくていいので手っ取り早いとなります(笑)。
というように、いつの頃からか割り切っている自分がいますね。
だって、こっちの都合で、同じ言葉であるに関わらず、酷い言葉になったり、感謝の言葉になったり、コロコロと変わるのですから(笑)。
というか、他人の言葉にいちいち傷ついたり、長きに渡って恨みツラミを抱くというのは、
言ったご本人も、どーせ大して何も考えずに、思いつきの言葉を使っているだけでしょうから(苦笑)、
そんなことに人生を翻弄されるのはバカバカしいと思えるというのが本音なわけで、
いらぬ影響を受けてしまうことに対する防御とも言えるでしょう。
実際に、その言葉をどんな意図で言ったのかを、しつこくしつこく相手に聞いていくと、
そもそもその言葉の定義など完璧に一致していないことばかりなのです。
よって、言葉の意味よりも、その言葉を言っている本人が、なぜその言葉を使わざるを得なかったか?何がその言葉を言わせてしまったか?の方が、
人間を知るという意味においては、彩りが生まれます。
私の知る限り、どんな稚拙で辛辣な言葉であっても、「あの時のあの言葉があったから今の私があると言える。感謝しているよ。」と言える人は、
自他共に認めるだけの一定の実績があり、自分に自信のある人ばかりであることです。
上っ面で、型だけ真似て、それ以上何も言われないように防波堤作るような人もいますが、
何でもかんでもそう言えばいい、というのではなくて、ホントにそういう言葉が絵になる人は、やっぱりいたりします。
そういう人を見てみると、私も心の底からそう言える状態でありたい、と思うのです。
言えるだけの実績は必要なのでしょうね。
相手の言葉は、こちらの状態によって虹のようにコロコロと色が変わるのです。
同じ生きるなら、どんな言葉も、感謝に変えられるような状態、すなわち、
人生脳天気丸出し状態(笑)でいたいと、心から思っているのです。