「属人的要素」に価値は宿る

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打ち合わせに向かう途中の公園で桜満開に出くわして、うかれポンチ満開でした(笑)。

うかれポンチ満開しながら考えていた、以下、私見極まりない、これからの中小・零細企業の方向性です。

「最大効率化を目指す」と言っている中小零細企業の経営者の真意がどうしても理解できません。

最大効率化を目指すなら、最もコスト比率が高く、かつ、思い通りにならない対象は人間なのだから、人件費を少しでも安くした方がいいとなる。

そうなると一人当りの人件費を安く押さえるか、できるだけ人員を減らす方法を考えたり、あるいは人件費の安い地域や国へ生産拠点を移すか、目指すは全てを機械化して人を一切雇わないことで、最後は、恐らく最も高い人件費である経営者の自分すらも必要ない状態を創り出すことが最大となる訳で、それらに対して人生の大半を費すということなのか?

すなわち、全ての人が仕事につかない世の中を標榜しているということなのか?

と極論を出すと(笑)、それは極論であって、そんなことまでは考えていない、と、当然ながらなる(苦笑)。

しかしながら、企業にとっての最大効率化というのは、最大というからには、そういうことになる。

それを前提にするなら、中小零細企業での私の知っている範囲の経営者で、自分自身まで本気で不必要になることを前提にするほどの全社効率化を図る経営者を私は過去に見たことがない(苦笑)。

効率化を図る経営者の本音の意図としては、自分と身内だけは効率化せず、社員・メンバーについては効率化したくて、できれば人件費より安い機械化ができれば、人を切って機械化して、でも身の回り全てが機械というと何だか味気ないというか気持ち悪かったりするし、自分は効率優先の冷たい人間だということを認識したくないので都合のよい程度に人はいて欲しい、というのが本音と言えば本音だろうが、それを公に言ったら周りの人の感情に対してシャレにならないから言わないだけ、というのは言い過ぎでしょうか?(笑)

要は、最大効率化と口では言うものの、本当に最大効率化に向かって、他の全てを払拭してまで邁進している中小零細の経営者は見たことがない。

例えば、費用対効果が悪くなった古株社員を、本当にバッサリ解雇する中小零細の経営者は見たことがないのです。

人というのは最後の最後は効率化を仕切れない「情」を持ち合わせているし、また、どこかで、そんな冷たい人間には自他共に見られたくないという感情も持ち合わせているのが中小零細の経営者だと、私は思うのです。

効率化というのは、煎じ詰めれば、機械と人間とどっちが安いか?という選択に対する意思決定だと思っています。

効率化へ向けた最大の敵であるはずの「情」が捨てきれないとするなら、最後の最後に残すもの、あるいは自社・自店の前提となる価値は本当はどこにあるのか?のヒントは、捨てきれないそれそのものにあると思っています。

「情」というのは極めて属人的な要素です。

企業や会社というのは属人的な価値のみでは大きくならないという見解もありますが、逆に言えば、中小零細の規模は属人的な価値でしか大手には勝てないということです。

(そもそも「大きい」会社というのは、どの基準(売上高なのか、店舗数なのか、従業員数なのか)で、どの規模のことを言うのかは、言ってる本人自体も、これが結構曖昧だったりします。

「日本一の企業を目指す」とか「世界一の企業を目指す」と言っている会社や経営者が何をもってして「○○一」と言っているのか、その言葉を聞いただけでは私にはさっぱり分からなくて、従業員との共通の標語にするのに便利だからなんじゃないか?程度に思っています(苦笑)。)

属人的ということは、経営者個人の主義・主張や、思想や、「好き・嫌い」の価値観を全面に打ち出すということです。

私は、中小零細企業のトップは、磨くべきはこちらだと思っています。これを明確にして相手に分かりやすく伝えられるかだと思うのです。

じゃないと、大手企業にのまれるばかりでしょう。効率化というのは、基本的には資本の大きい、すなわちお金を持っているところには勝てないのです。

それどころか、恐らくは、今後は世の中のテクロノジー化・機械化がドンドン進んで、低価格化は進むでしょう。

色んな情報を鑑みるに、このスピードがとんでもなく速くなっていると思っています。

今の仕事がなくなるのです。近い将来、今の自分の仕事は機械にとって代わられると様々な場面で言われています。

自分が消費者側になってみれば、それは便利で快適な世の中です。個人であれ、企業であれ、コストは「買う」側になれば、同じ機能やサービスなら、安い方を選んで当然です。

では、自分が「売る」側になった時にどうするか?

効率化を標榜するには圧倒的に不利な自分はどうすればよいのか?

こういう時代の、機械にはできなくて、人間にしかできない仕事ってのは何なんだろうか?というキーワードは、私はこの「属人的」という単語にあると思っています。

「属人的」というからには、文字通り「機械」にはなく「人に属する」ということですから(笑)。

自らの、「属人的」で人から見た魅力的な要素は何か?という基準は、経営者のみならず、全てのビジネスパーソンが本気で考えていかねばならない重要な課題だと思うのです。

私に「どうしたらいいですか?」と聞いて下さる、ほとんどの中小零細の経営者に、『まずは「好き」で突きぬけろ』と一貫してお伝えしているのは、この背景となる考えを持ってしまっているからです。

個人の「好き・嫌い」「趣味嗜好」「何に時間とお金を使ってきたのか?」というのは、「属人的」のカテゴリーにおいて最も分かりやすい一つだからです。

(だから打ち合わせとかミーティングは、その人の「好き・嫌い」自体を掘り起こそうとすることに最も時間と期間をかけるので、グダグダでバカっ話にしか見えない(笑)。)

そうなると、もう最後は「あなたの魅力は何ですか?」、もっと言えば「他人が、あなたになら何を売っててもお金を払ってもいいよ、と言われるほどの個人的魅力は何ですか?」という、極めて根本的な問題になってきて、それを言ったら元も子もないじゃんと言われるかも知れないけど、でも、それは、言い訳の利かない厳しい時代とも言える反面、極めて公平で誰にもチャンスがある時代とも言えて、私は、とても面白くてチャレンジのし甲斐のある楽しい時代と思っているのです。

中小零細企業は、「いかに効率化できるか?」に時間を費やすよりも、「いかに自分は何者であるのか?」に時間を使うべきで、その上で「同じやるなら効率的にできるか?」を考えるべきです。

それが、人間らしいビジネスのあり方だと、私は信じて疑わないのです。

 

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