その言葉の定義は一致しているか?
- カテゴリー:
- 坪井式リーダーシップ
社内や、同じ組織の仲間内で、「言葉の定義」を一致させておくことはとても重要だと思っています。
「ビジネス観」について、今まで会話してきた経営者やビジネスリーダーの中で、「ビジネスは自分が好きなことや楽しいことをやってはいけない。相手が楽しいことや喜ぶことをすべきだ。」
と言っている人は多くて、そういう人との会話にはどうしても限界がありました。
一見正しい言葉に思えるのですが、私はそもそも他人の喜びを知ることなんてできないし、そんなことが自分にできるなんておこがましいと思っていますから。
自身の経験の中で、本当に楽しかったことや嬉しかったことの中から、相手もきっと嬉しいだろうと予想していることを差し出しているに過ぎないと思っています。
伝えた結果、相手が共感したかどうかだけで、それが嬉しかったかどかは相手が決めることでしょう。
相手の喜びって、厳密に分かります?
私、分かりません。
喜びや楽しさって、個人に帰属しているものだし、同じ人でも、経験や状況、その時の感情によっても変わっていくだろうから、それが先に分かるなんて、できるんかい?
できねーよ(苦笑)。
自分の経験した中の喜びや楽しさの具体事例の中からでしか、相手に差し出せないでしょ?
だから私は、「ビジネスは、自分が嬉しかったことや、楽しかったことを信じて、相手に伝えるべく行動してみなさい。」となる。
私はこういう考え方をしているものだから、全く話が噛み合いません。
「こいつ、いい言葉だけ口から出して浅いなぁ。」とすら思えてしまって(苦笑)、あんまりそういう人の主張を一方的に押し付けてこられると、最後は、「じゃあ、今、ここで、私を喜ばせて下さい。わかるんでしょ?私が今何を喜ぶのか知ってるんでしょ?やってみて下さい、どーぞ、どーぞ、さぁ、どーぞ。」みたいにふっかけて無茶苦茶になったりもしましたね(苦笑)。
ただ、最近になって気づいたのは、「ビジネスは自分の好きなことをやってはいけない。」と言っている、ほとんどの人は、「ビジネス」ではなく「品揃え」のことを言っているんじゃないか?ということです(苦笑)。
こういう人のビジネス観は、「ビジネス=品揃え」です。
モノが売れている時代に実績を上げてきて、その自負とプライドがある人がある人に多いですね。
それを言いたいなら分かるんですよ(笑)。
「品揃えは、は自分が好きなものだけでしてはいけない。」なら、よく分かるんです(笑)。
「品揃え」や「商品の価格帯バランス」は、商品寿命や市場浸透度によって変わっていくし、変えて行かねばなりません。
よって主観だけや、独りよがりでは上手くは行きません。
それを言いたいんなら分かるんですよ(苦笑)。
でも、これを「ビジネスだ。」と言われると、私は、「いや、それはビジネスじゃなくて、品揃えだったり商品政策って言うんでしょ?」となる。
ここで、言葉の定義を一致させられるなら、まだいけるのです。
問題は「ビジネス観の相違」というより、「言葉の定義の違い」だったのだから。
色んな人と話をしてきたし、していますが、「言葉の定義」を合わせることは、とても重要です。
価値観の相違というのは、同じステージの話の中で、初めて発生しますから、同じステージなら、とことん討議して決定していけばいいのです。
逆に、言葉の了解領域の差に限界があると、もうどうにもなりません(苦笑)。
このタイプと「ビジネス論」をどれだけ展開してもラチがあかないので、諦めるしかありません。
前記したように、商品の「品揃え」や、その「価格帯バランス」はビジネスにおいてとても重要な要素です。
しかし、それはビジネスの全てではなくて、ビジネスの一要素だと私は思っていますよって、ビジネス全てではない。
これは「ビジネス観の違い」というより、「ビジネスという言葉の定義の違い」ということになります。
よく、経営幹部メンバーや、親子経営の父と息子で、喧嘩が絶えない、仲が悪い、という問題を聞きますが、本当に諦める前に、「言葉の定義」を一致させるというのは一つです。
そうすることで、当初は「価値観の相違」で揉めていたことが、全く別の角度で解決する可能性があります。
言葉って大事ですね。