独自化ビジネス講座・02「3つを組み合わせても独自化しない落とし穴」

三つの組み合わせだけで独自性になるか?

「自社の経営に独自性を出したいんです」

というご相談は多いですくあります。

そして、独自性の話になると、

「100人に1人のものを三つ組み合わせれば、100万人に1人になれる」

という話が出てきます。

100×100×100=100万ですから、計算としては正しいです。私も、これまで何度も、そういう話をしてきました。

ただ、最近は、この話には少し補足が必要だと思っています。

コピーできる組み合わせは独自性か?

なぜなら、組み合わせる三つを、みんなが同じようにつくり始めたからです。

例えば、私の「傘屋」の家業継承時代には、

「傘+コート+マフラー」

組み合わせは既にありました。

確かに、一つより三つの方が情報量は増えます。

しかし、同じ傘も、同じコートも、同じマフラーも、他の人が普通に手に入れられるのであれば、それは独自化というより、セット販売です。

並べ方を変えただけで、材料は同じです。

他人と同じ棚から選んだ三品を、違う順番で並べて、

「私だけの独自性が完成しました」

と言われても、言われる側は困惑するでしょう。

今なら、

「SNS+AI+マーケティング」

なども同じです。

いかにも現代的で、何かが起きそうな組み合わせですが、今や、その三つを掛けている人は、100万人に1人どころか、同じオンライン講座の中に何人もいたりします。

掛け算が間違っているのではありません。

仕入れ先が、全員同じなのです。

量産される掛け合わせの罠

今回のAI動画では、傘、コート、マフラーが、それぞれ別の投入口から機械に入っていきます。

三つの材料が揃い、機械は勢いよく動き出します。

ところが、出てくるのは、同じような箱ばかりです。

組み合わせれば独自になるはずだったのに、見事に量産されています。まあ、現実も、だいたいこんなものです。

そこへ最後に、TOSBOIが青く光る球体を持ってきます。

その中に入っているのは、新しい商品でも、新しい手法でもありません。

自分が見てきたもの、やってきたこと、うまくいかなかったこと、その時に感じたこと、そこから自分なりに決めたことです。

つまり、原体験と価値観です。

それを機械へ入れた瞬間、同じ箱を作っていた製造ラインが、TOSBOI WORLDへつながる入口に変わります。

商品を三つ入れた時には「箱」しかできなかったのに、自分を入れたら「世界」になるという論法です。

リアルな原体験と得られた価値観は必須になる

私は、「独自性」とは、多分、こういうことなのだと思っています。

私は、アパレルの会社に勤め、家業の傘屋をやり、リサイクルショップを始め、株式上場の経験をさせて頂き、その後に退任しました。

経歴だけを並べれば、これも単なる組み合わせです。

「アパレル」と「傘」と「リサイクル」と「上場」を掛け合わせれば、独自性ができるわけではありません。

その一つ一つの場面で、

何を見たのか。

何に腹が立ったのか。

何を恥ずかしいと思ったのか。

なぜ続けたのか。

なぜやめたのか。

そして、その経験から、価値とは何だと考えるようになったのか。

そこまで掘って、初めて「自分」が材料になります。

他人は、同じ業界へ入ることはできます。

同じ資格を取ることもできます。

同じ手法を学び、同じ商品を扱い、同じ服を着ることもできます。

しかし、私がその時に何を見て、どう感じ、どう判断したかまでは、コピーできません。

だから、独自性をつくる時に必要なのは、掛け合わせる材料を増やすことだけではありません。

持っている材料を、どこまで深く掘れるかです。

成功した経験だけではありません。

説明しにくい失敗。

いまだに腹が立つ出来事。

なぜか捨てられない違和感。

人にはあまり話したくない判断。

むしろ、その辺りに、コピーできない材料が埋まっています。

独自性を探している人で、外へ新しい材料を探しに行くばかりの人はいます。

ところが、いちばん変わった材料である「自分」だけを、最初から計算式の外に置いていたりします。

それでは、いくら掛けても、他人が真似できるものしかできません。

今持っているものをどこまで掘れるか?

三つ組み合わせるなら、三つ目の商品を探すのではなく、三つ目に自分を入れる。

傘とコートとマフラーを組み合わせるのではなく、

「傘とコート」に、「傘屋をやった自分が見てきたもの」を掛ける。

そうなった時、ようやく、その組み合わせは商品ではなく、その人の世界になります。

独自性は、組み合わせの数ではなく、経験の深さで決まる。

そして、たぶん、人に見せたくない場所ほど、よく掘れます。

困ったものです(苦笑)。

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